男の話しはこうだった。
自分達は単独で動き、心ちゃんを本間に差し出し陽炎での地位を上げようとした。
その作戦が繁華街と乱華の倉庫を同時に襲い、学校が手薄になった所で心ちゃんを拉致するというもの。
「おい、その心拉致するって奴らはどうなったんだよ?」
「……」
「連絡してみろよ」
胸倉を掴んだまま言えば、ポケットからおずおずと携帯を取り出した男。
その姿は最初とは随分違ってボロボロだ。
まぁ俺がそうしたんだけれど。
携帯を耳に当てた男に近づき耳を澄ます。
「……はい」
その声には聞き覚えがあった。
男から携帯を取り上げ、耳に当てる。
受話器越に“おい、誰も話さねぇぞ”とか“どうなってやがる”とか聞こえる。
おい。まさか…
「……颯人か?」
「正宗?」
なんで颯人が電話に出てんだよ。
俺の言葉に反応したタクが壁から背を離してこちらに近寄る。


