「この前の暴走やばかったよね〜」
「やばかった!やばかった!!」
「傘下も合同だったから人、多かったよね!?」
「多かった!早く場所取り行ってて正解だったよね〜」
「あ、でもそれ佐伯もいたらし……」
開けて、来なきゃ良かった。
素直にそう思った。
…いや、マジで。
正に乱華の話題。
挙げ句に私の話まで出ていた。
トイレの洗面台で、化粧直しをしながら乱華の話でキャッキャッ笑い声をあげるギャルが5人。
私が入ってきたのに気付いたらしいギャル達は、そのバカみたいな笑い声をピタリ止めた。
やたらと目力のあるその双眸で、睨みに近い眼差しを送ってくる。
このまま踵を返すのも癪だから、その痛い程の視線を浴びながらも個室へと入った。


