「…怖かったか?」
「…はい?」
いきなり話が変わった。
意味が分からない。
「ほらさっき車で…」
「怖かった」
間髪入れずに言ってやった。
さっきの事だとわかれば答えはYESしかねーだろ。
怖くないなんて答えるバカがいたら、是非一度この目で拝みたい。
梶さんをギロリ睨みつけて、オレンジジュースを一口飲む。
「俺もさ昔乱華だったんだわ」
目の前の現役メンバーを視界に入れ懐かしそうに、瞳を細め穏やかに笑った。
梶さんが昔暴走族だったとしても驚きはしない。寧ろ納得だ。
こんなナリで、T大生ですとか言われたら納得できないけれど。
しかし、いきなりの独白に私はどうしたらいいんだろうか。
相槌を打つかもわからずに、そのままドラム缶の上で梶さんの話に耳を傾けていた。
「昔俺は特攻やっててよ。テクニックにはかなり自信があるんだ。
だからかな?アイツら見てたら腕が疼くんだよ。
俺の方が上手くやれるってな
」
「………」
「正宗には怒られるわ、颯人には睨まれるわで散々だったけどな」
ハハッ乾いた笑みを零す梶さんだけど、その顔は後悔してるなんて顔じゃない。
楽しそうだ。


