「…はぁ」



口からでるのは、今日何度目になるかわからないため息。



足元に落とした視線を前に向ける。
私の少し前を歩くのは、黒髪をオールバックにした背の高い男。



…何ソレ、若づくり?



心の中で悪態をつく。



真新しい制服に袖を通して、スタスタと廊下を歩く。



濃紺のブレザーに真っ白のシャツ。
赤のチェックのリボンは似合わないから家に置いてきたけど…
真っ赤なチェックのスカートの裾をひらひらさせながら、この広陵高校の小綺麗な廊下を進む。



「ははっため息なんて吐いても仕方ないさぁ〜」



ふいに前を歩く人物がくるりと振り返る。
バチッと合った目を細めてヘラっとした顔をした。



…その笑顔は私をイラつかせる以外の何者でもなくて。



「んな睨むなって〜」



ポンっと頭に手を置かれた事で更には殺意が芽生えた。



やめろ、触るな。



無言でその手を振り払って、じとっとした瞳で観察してみる。





………。



見れば見るほど見えないよ、アンタ。



教師に。