〜side.正宗〜



「どうだ?」



心ちゃんが部屋を出た後、颯人に問い掛ければ



「多分、知らねぇな」



デスクにドッカリ座った颯人はカチッタバコに火を点けた。



この前の男。
香月忠志。



陽炎の中堅。
アイツがあの中では一番上だった。



ベラベラ喋ってた割には肝心な事は割らなかった奴。



利用価値のある女。



何に、利用するんだ。



あの言葉が気になりすぎる。



カチリカチリ携帯を弄って、パソコンから転送した香月忠志の情報を引き出す。



誕生日に血液型。
出身地に住所に家族構成。



…へぇ、コイツも妹と弟がいるんだな。



フッ笑ってもう一台の携帯に視線を向ける。



「なぁ」


「…あ?」