「香月忠志」



11月頭。
いつもの様に倉庫に連行された私は正宗にその名を告げられた。



いつものソファーに座り、オレンジジュースを差し出してくれた正宗にありがとう呟く。



「…香月、忠志?」



その名を反復して、首を傾げる。



「この前の男だ」



それってこの前の、捕まってた奴の事だよね…?



珍しくデスクではなく私の隣に座った颯人は、ジッと私を見る。
その目は知ってるか?問いかけてくるから



「知らない」



目を見て答えた。



「そうか…」


「…うん」



ポスン、頭を撫でた颯人は席を立ち「修、司」2人を呼んだ。


「じゃぁオメェはちょーっと今から付いて来い」


「…はい?」



修に腕を引っ張られ、無理矢理ソファーから立ち上がらされた私はそのままドアに。



その後ろを司が着いてくる。



て、ゆーか
今座ったばっかりなんですけど!!

今、ジュース飲もうとしたんですけど!?



ぐいぐい引っ張られてドアはパタン、静かに閉まった。