かなしい、かなしい、かなしい。

私じゃない誰かが、だけど確実に私の体内の奥底からそんな声が聞こえてきた。

何がかなしいのか分からない。

だけど、すーっと一筋の涙が頬を伝って掌に落ちたのを感じて、かなしいんだ、と理解した。

今日はおかしい。
どうにも情緒不安定だ。

私は流れた涙を気づかれないようにパーカーの裾で拭って、きれいだねってただただ呟いていた。