大通りから1歩それると、そこには別の世界が広がっている。

さっきまでの明かりや車の音が幻だったのかと疑うほどに、ひっそりとしていた。

家々の灯す、暖かく、淡い光に心がじんとなる。

あぁ、いいなぁと思った。

最近は母が先に帰宅して私を迎え入れることはほとんどない。

「ただいま」と言えば、柔らかな声で「おかえり」と迎えいれてくれる家がとてつもなく欲しくて、懐かしかった。