「やだ」

いくら女の子のように美しくても、男である圭の力によって簡単に腕は振り払われる。

「意地悪」

私はむくれてみせる。

何だか、昔のように自然に話せていて急に嬉しくなった。

さっきからの私はおかしい。
不機嫌になったり、喜んだり。

「教えてくれたっていいじゃん」

スタスタと歩き出す圭の後ろをパタパタと追いかける。

「じゃあ……」

圭はくるりと振り向いて、何かを考えるように目を細めた。

「やっぱいい。あまりに幼稚だ」

圭がまた歩き出して、一番奥の棚へと移動するのを私は逃がさない。

「圭、いいじゃない」

私は何をこんなにムキになっているのだろうか。