「都」

ウロウロしている私の姿が目に入ったのだろう。
圭から声をかけてくれた。

彼はジーンズに白いシャツを中に着て黒いジャケットを羽織るという爽やかな出で立ちだった。

「1人?」

「まぁね。圭も?」

「うん。暇だったからきてみた」

言って、にこりと笑うと空気がふわりと和らいだ。
圭にはそういう力がある。
周りを穏やかな気持ちにさせる力。

きっと、それも理由の1つなんだろう。圭は高校生になってからとてつもなくモテはじめた。

後輩、同級、先輩どこからも絶大な人気を誇っている。

圭は私みたいにひねくれてなくて、素直で温かくて……。