「アキは?今日、仕事は?」



キッチンから部屋に戻ってきた聖夜さんにレイナさんが聞いた。


仕事ってことは、聖夜さんは学生じゃないのか……。


でも学生をしながら仕事もしてるのかもしれない。


こんな時間に仕事の話をするくらいだから。


学生だったら昼間は仕事は出来ないもんね。


私は、レイナさんの口から出た仕事という単語を聞いて、そんな余計なことまで頭の中で想像を膨らませていた。



「レイナと違って、休んだんじゃなくて、僕は今日は休みだから」


「いちいちムカつく言い方するわね~。あっ!でも今日は休みで良かったかもよ?私も休んで良かったかも。ここに来る時ね、凄いの見ちゃったし」



レイナさんの言葉を聞いて、体がビクンと跳ねた。


凄いのって……。


もしかして……。


忘れていた記憶が頭に甦る。


殺人現場、パトカーや救急車のサイレンの音。


でも……。



「へぇ……」



聖夜さんは、まるで他人事のような返事をしていた。