ドアを開ければ冷たい風が吹き抜ける。


今はもう11月。冬に入り始めている。


私の大好きな季節であり、大嫌いな季節でもある。


火事があったのが冬だったから。


お母さん…お父さん…。


もう一生会えないと思うとまた涙が出てくる。


『芽衣…?』


兄さんは心配そうに顔を覗き込んできる。


『また思い出したのか…?』

「ふっ…ヒック…どうして…お母さんとお父さんが死ななきゃいけなかったの…」


火事の原因はたばこの不始末でもストーブの付け忘れでもなかった。


「なんで私たちの家なの…なんで私たちの家が燃やされなきゃいけないのっ…!」


原因は放火。


犯人は遊び半分で私たちの家に火をつけたらしい。


遊び半分の気持ちで、お母さんとお父さんは殺されたのだ。


『芽衣…』


そっと抱きしめてくれる兄さんの胸で静かに泣いた。


兄さんは何も言わず、背中をポンポンと叩いてくれた。


『落ち着いたか?』

「うん…ありがと…」


兄さんから離れて涙を拭く。


「ごめん兄さん。学校行こう」

『そうだな』


私たちは古びたアパートを後にして学校の道のりを歩いた。