―――その瞬間、口元に冷たい感触。 「!?」 驚いて、咄嗟に右手を口元へと動かした。 触れたのは、大きな・・・凌の、手で。 昨日のように、あたしの口を押さえられているらしかった。 「・・・母さんは気付いてなかったようだけど」 いきなり、凌の低い声が耳に入る。 「シャツ・・・上まで、ボタン止めろ」 続いてそう言うと、あたしの右手と一緒に凌の手が口から離れる。 そして、あたしの横をスッと通り抜けて出て行った。