事件は、とある昼休みに起こった。 「ここに置いといたオロナミンC、誰か知らね?」 悠斗が教壇の向こう側を覗き込んで言った。 「知らね」 瀬那くんがコンビニのオニギリのフィルムを剥がしながら、どうでも良さそうに返す。 「凜太は?」 スルーしようとしたら、突如、俺にふられた。 どうでもいいけど俺は『凛太郎』だ。『凛』って呼ぶならまだしも、変なとこで切るなといつも言ってんのに……。