やられたー…

まんまと、会長にやられた…。


会長の後をついて行くことに全くの警戒心を持っていなかった私は、豪邸に入ってしまった後、大きな後悔を抱えていた。

入っちゃったよ、どうしようー

私、帰れるよね?

今すぐは出来なくても、今日、ちゃんと帰れるよね?


会長が勉強を教えてくれるというのはものすごくありがたいけど、いつまで会長に拘束されるか、それが問題だった。

あの会長の事だ。

絶対1時間や2時間では解放してくれない事くらい、勘の鈍い私でも分かっていた。


「あのぅ…、」

『何だ。』

「私、いつ頃帰してもらえるのでしょうか?」

『は?』


気になってしまって仕方なくなった私は、ついに会長に聞く。

けれど、間抜けな返事を返された。


『は?』って…は??


会長に続いて、私も固まる。


『お前…帰れると思ってんの?』

「へ?……ぇえ??」

『帰れるかどうかはお前の次第だ、ヒナ。』


ニヤッと笑った会長に腕を掴まれて、気付いた時には部屋に連れ込まれていた。