――「あのぅ…。」

『あ?』

「ひっ…いえ、何でも――」


会長に無理矢理と言っていいほど強引に会長専用の送り迎えの車に私も乗せられ、

知らない道を通り過ぎて行く車の行く先は絶対に会長の家。


何度か自分の家に帰してほしいと言おうと試みるも、会長の野獣のような目線で睨まれれば、小心者の私はひるんで口をつぐんでしまうのだった。

どうしよう、このままじゃ――


…――キキッ、

『到着いたしました。』


ウソーーーっ!!?

もう!?

早くない!?


時間というのは無情なもので、あれこれ私が考えているうちに、会長の家へと到着してしまった。


ガタッ

『ヒナ、降りろ。』

「は、はいぃ…。」


会長に命令されると条件反射で動くようになってしまった私の身体。

自分の事なのに、自分が恨めしい…(泣)