でも、本当に感謝はしている。

感謝“だけは”ね!


だって、前までは全ての科目がさっぱり分からなかったのに、

今は会長のおかげで、少しずつ分かるようになってきたから。

少なくとも、私が分からないところを、会長が教えてくれるから。


『だってそうだろ?もし来年もお前が留年候補に上がってみろ。来年は俺もいない。今更追試で挽回できるほど、よくできた頭を持ってるわけじゃあるまいし。そんな中、お前は留年したいのかよ。』

「い、いえ…。」

『だろうが。そしたら、お前のその中身の何もない脳に、少しずつでも叩きこまなきゃいけない。どうせ、先生たちはしないし、だったら俺がやるしかない。違うか?』

「ご、ごもっともです…。」



言い方はきついけど、こんなのはもう慣れた。

だって、その裏にはいつも、会長の優しさがかくれてるってことを、私は知っているから。


だから、どんなに会長が冷たくそんなことを言ったって、私には嬉しさしか生まれない。

感謝の念しか、浮かんでこない。


なんだかんだいって、私の事を一番気にかけているのは、会長――なんだよね。