『ははっ、いつも生け簀かないねぇ?昴くん?』
『何がしたいんだよ?テメェ…』
こ、怖いーっ!
後ろ姿しか見えないから分かんないけど、今、ものすごく会長は怒ってる。
それなのに、何で謝らないの、この人ーっ!!
一刻も早く謝るか、立ち去るか、してくれないと、会長がどうなるのか分かったもんじゃない私は、アワアワと2人を見つめるだけ。
『松下 妃奈子。16歳。1年8組34番、文化委員。』
「!?」
『平成○×年7月18日生まれ。兎年、かに座。特技なし、友人・小学校時代に3、4人。得意科目なし、不得意科目は数学・体育・理科。両親と姉が1人。ドジでバカで不器用の三拍子。小さな頃からいじめられっ娘。ついたあだ名は――ドジっ子ヒナコ。』
「・・・っ」
ズボンのポケットから小さな手帳みたいなのを取り出したと思ったら、男子生徒は私の個人情報をペラペラと話しだした。
何で、知ってるの…?
『まだ続ける?』
一通り区切りをつけたところで、男子生徒はニッヤーと笑ってそう言った。

