「っ…や、だ…っ!」
『クスッ…いいね、可愛い♪』
何なの、この人…ッ!
徐々に男子生徒のニヤついた顔が迫ってくる。
拒否しても、男子生徒は余裕な表情で笑ってる。
「……っ」
あと1㎝でキスできる距離に達して、もうダメだと目を瞑った時――…、
ガツッ
『雨宮。ふざけんのもいい加減にしろよ?』
『昴ッ!?――ぅわっ!!』
「・・・す、ばるさ…っ」
鈍い音がして目を開けると、そこには男子生徒を投げた会長がいた。
っ…良かった……
落ち着きを取り戻すかのように、私は深呼吸を繰り返す。
どうやら、危機感で呼吸するのを忘れていたらしい。
『い…ててっ……勘弁してよー、マジで。』
意外に男子生徒は早く起き上がり、睨みつける会長に笑顔で返していた。
この人…身の程知らずなの…?
それともバカ?
会長を怒らせたらどうなるか――
会長を怒らせたときのあの恐怖を思い出して、私は身震いをした。

