――あれから、一週間が経った。


『……珈琲。』

「えっ」

『1分以内。』

「ふぇっ」


未だ慣れない会長補佐。

私は完全に会長の働きアリ。

毎日放課後になると、会長が生徒会長室に来るまでには掃除をして、珈琲の準備をしなければならない。

準備中に会長が来た時点で…アウト。

罰ゲームが課せられてしまう。

それを知ったのは、4日前。

現代文のノートを出すのを忘れて、会長よりもだいぶ遅くなった私に、会長は初めてこのことを言った。

そして…課せられた罰ゲームは、


「で、出来ました…昴、様…。」

『ん。』


会長のことを、様付けで呼ぶこと。

しかも、名字じゃなくて、下の名前を。

恥ずかしいったらありゃしない。

今どき、様付けだよ!?

私は会長の働きアリであっても、会長のメイドじゃない!

そう思っても…会長には口が裂けても言えない。

こんなこと口走ったら、今度はなんと言われるか…。