私だって、パーマをかけようとしたことはある。
でも、パーマの掛け方を間違って、アフロみたいになっちゃって、もうやめようと思った。
どうやら私はストレートが強いらしく、中々うまくいかないんだと。
それから、ショートは小さい頃にやってみて、男の子に余計に苛められた記憶しかないし、ミディオムだって、きっと私は似合わない。
唯一マシだったのが、2つ結び。
だから、どんなに周りがオシャレに頑張っていても、私はこのスタイルを変えたことは一度だってないんだ。
「…返して、ください……っ」
『お、意外におろした方が好みじゃん。』
「っ…返してッ…!」
嘘だ嘘だ。
きっとその言葉も私を苛めるためだけの言葉。
どんな言葉、絶対信じない。
『やーだ。今日の放課後ここに来るなら、返してやる。』
「き、ますから…返し――っ」
『放課後、来たらな。』
「っ――!!」
逃げ道を、塞がれた。
『今は返してやんない。返してほしいなら、放課後ここに来い。待ってるよ…――ヒナ、』
「――っ!!!」
初めて呼ばれたその呼び名に驚いている私を余所に、
会長は生徒会長室から出て行った。

