ユウは静かに空を見ていた。
何だか今日は空がおかしいのだ。

朝からずっと照っている。
もう4時になるのに、一向に暗くなる
気配は無かったのだ。

「変だな…」
ユウはしばらく空を見ると自宅に戻った。
刀の手入れをしながら、さっきと同じ
ように空を見つめた。
刀の手入れをしているのは、
動物が活発化して魔物となってしまい、
治安も乱れ危ない状況になっているから。
いつ魔物に襲撃されても不思議じゃない。

窓の外から声が聞こえてきた。

「ユウーっ!」
窓を開けてみると、そこにはナツナがいた。
ナツナはユウの幼馴染で、想い人。

「一人か?!危ないだろ!」
「だって早く会いたくて…」
ユウはその一言を聞くと、恥ずかしがって
おどけてしまった。

ナツナも不思議そうに空を見る。

街の人は珍しがっているのか、
外に出ているのが窓から見えた。

「何だか、気味が悪くて。ユウは
強いから安心できるし♪」
「ナツナだって鍛えれば良いのに」
「あたしは駄目だよ。怖いし…」

ナツナの兄であるレイは、つい最近
魔物に襲われ死んだ。それがトラウマに
なって、彼女は魔物を見るだけでも
嫌な思いをしてしまう。

「大丈夫。俺は絶対に死なないし、
お前も死なせないから!!」
ユウは優しく言った。
ナツナもそれを聞くと、安心した
ように笑顔になった。

「ねぇ、いつもの所に行かない?」






街外れの川沿いの岸辺に行く2人。
ここは言わば”たまり場”で、よく
2人で集まっているところだ。

外に出ていると、空の奇妙さが
より感じられた。