シュウはユウを見て言った。

「自分でいいのかって思ってるんだろ?」
「…そんな大それた役、俺に出来るかな」
シュウはユウの腕をつかんだ。

「お前しか出来ないから選んだんだろ!!
それに…言っただろ。お前は1人じゃない。
2人で1つなんだ。俺も協力する」
「シュウ…」
自分でも不思議だった。
こんなに考えが変わったことが。

でも、あの言葉を聞いたとき、俺の
存在する理由を教えて貰った気がしたんだ。

この気持ちを知れば、複製と本体の争いも
無くなるんじゃないかって、思ったんだよ。

「…分かった。ありがとな!!」
ユウはそう言って微笑んだ。

海岸の後ろからバタバタと音が聞こえた。
聞きなれた音…とユウは期待をこめて
振り返った。

「ユウ!!」
案の定、そこにはナツナの姿。
「ナツナ!!」
感動のあまり抱き合う2人。
シュウは無言で2人を見つめている。

「良かった…いきなり消えちゃって
ビックリしたんだよ……」
「ごめん…」
ナツナの手は震えている。
ずっと探してくれていたのだろう。

「何でここだって分かったんだ?」
「クレハさんが教えてくれたの。海に
いるの、ユウじゃないか?ってね」
ナツナは目線をシュウに変えた。
彼をじろじろと見ながら、会釈をする。

シュウも彼女を見つめた。

「お前…どこかで…」
「え?」
あ、とユウが声をあげた。

「こいつはシュウって言うんだ。
ちょっと怖いかもしれないけど、
良い奴なんだよ」
「…ユウの、複製?」
「え?」
何で分かったんだ?

「ユウが消えてしまったあと、
街の人から聞いたの。神話の詳細。
このタイミングで2人が一緒にいる
なんて、それしか考えられない」