「この状況を何とかするために、
お前達を選んだんだ。私達はいつか
この世界に英雄が来ると、神から
告げられていた。その英雄が来たら
成すべき事をしなさいとね…」
「なすべき事…?」
ユウが冷静な顔に戻ると、シュウが
激しく彼の首を掴んだ。

「うっ!!何すんだ!!」
「うるせぇ!!」
シュウの顔は怒りに満ち溢れ、先ほどとは
別人と思えるほどの殺気を放っていた。

「そういうことかよ…やっぱり、俺らに
生まれた意味は無いんじゃねぇかよ!!
何で同じ存在なのにこんなに違うんだ??
世界が割れると分かっていたなら、何で
俺達を生んだんだよ!!!!」
シュウの瞳にはかすかに涙が混じっている。
ー分からない。悲しいのか、悔しいのか。

「…シュウ」
シュウはハッとした顔で声をあげた。
「何で…俺の名前…!!」
「分かるんだ。お前は俺の…複製だ」

ー何となく、分かっていた。
この場所に2人で呼ばれた時点で、
不思議な感じがしたんだ…。
俺の頭の中にも、コイツの名前が
浮かんでいた。

「俺は血のつながった人がいない」
シュウはその発言に驚いた。
ー自分も、そうだったからだ。

「だけどお前がいるってことは、1人じゃ
ないんだよな。こういう事言う状況じゃない
んだろうけど、何か俺、嬉しいよ」
ユウはシュウの手を振り払うことなく、続けた。
とても優しさに満ち溢れた顔で。

「複製にだって生まれた意味がある。
その為に神は生んだんだ。俺達を呼んだ!!」