「何故友梨が、あれほどまでに条野を想うのか……ずっと、考えていたんですよ」


「あぁ?ほんっと暗いねぇ、芳情。で?答えは出たのかよ?」


タバコを吸おうかどうしようか迷い、やはり先ほどと同様に諦める空也。


病室に一人残してきた友梨の事が……気になりはじめた。


リズのような幼児と違い、大人の患者の場合は精神疾患が認められる者以外は、ある程度以上の自由が認められている。


友梨は、そのある程度以上と以下を行ったり来たりしている状態だ。


自分でタバコに誘っておきながら、彼女を完全に独りにしてきた事に、空也は不安を感じだしていた。


廊下で急に倒れたり、和音の名前を呼んでみたり  

最近、友梨の記憶の回路は不安定だ。


……いや、不安定、ではなく、回復に向かっている。


そう言った方が、正しいのかもしれない。


空也が、見る、限り。


けれど。


以前、友梨の担当医、狩谷が言っていたように『ソレ』を、友梨自身が拒否している。


その為に時に友梨の精神は乱れ、最悪の場合自傷行為に走る。


『ジョウノユウリ』





『ミヤマサキユウリ』


に戻りたいのか。


それとも。