そんな友梨の様子を見て、和音はもう少しだけ腕に力を込める。


……だが、それでも友梨は。


「ダメ……ダメ……まだ、足りない。もっと、もっと強く……お願い!」


と、言って、さらに強く和音にしがみつく。


和音に回した指の爪の血色が、淡いネイルアートの上からでも変わるのが透けて解る位に、強く、強く。


和音は迷ったものの、友梨が頷くまで強く、彼女を抱く腕に力を込めた。




けれど和音は、心の中で思っていた。




……時々、怖くなる。

あまりにも華奢で可憐な彼女を、力の限り、好きなように抱きしめたら、シャラシャラと音をたてて、目の前で砕け散ってしまいそうで。


この腕に抱く愛しいオンナは、あまりにも儚く美しい。


一昨日初めて、本当の意味で夜を共にして。

彼女の気を失わせるまで、繰り返し肌を重ねても。


汚しきれない。


どこまでも、清らかな彼女が、愛しくて愛しくて愛しくて、それ故に  

時に、もどかしい。




「和音先輩……」


和音に強く強く抱きしめられて、友梨はやっと心の平穏を取り戻した。




……そう。

私は

和音先輩がいるから




大丈夫

大丈夫

だいじょうぶ




だいじょうぶ
   な の    


    .