「高校時代……まだ、付き合う前に。友梨が、オレに言ってくれた言葉、覚えてるか?」
抱きしめていた腕をといて、和音は両手で友梨の手を握る。
友梨は、キョトンとして。
「いつ頃、ですか?」
と、問いかける。
「オレが高2友梨ちゃん高1……保健室で、オレは友梨を追いつめた」
「……保健室」
「友梨は怪我をして血が止まらなくて、それをいい事にオレはオマエの手を握ってたね」
クスクスと笑う和音。
友梨は、ああ!と、呟き。
「あの頃の和音先輩、いじわるでしたわ」
と、軽く頬をふくらます。
「当然だよ。このオンナ、オレの事好きなクセにメンドクセーなぁって、思ってたから」
「そんな風に思ってらしたの?ショックですわ」
友梨は和音から手を離そうとするものの、和音はそれを許さない。
「あの時オレは、苦しかったよ?」
「和音先輩?」
「友梨が。オレの罪ごと愛し、認め、その罪が赦されるべきものではなかったとしても、友梨だけはオレを愛し、共に裁かれる。そう、言ってくれたから」
「……」
「そこまでオレを思うのに、また逃げるのかよって、切なくて、苦しくて、たまらなかった」


