記憶混濁*甘い痛み*2


…………   


………………どうして。


友梨は、和音のキスに目もとを赤く染めながら、自分の心に問いかける。




どうして、和音先輩でないとダメなの?

どうして、和音先輩のキスはこんなに心地良いの?

どうして?

どう、して?

教会の控え室で。

式の前だというのに。

こんなに 長く、甘い、くちづけ…… 

でも。

……ああ。

イエスさま。

どうかお許しになって。

快楽、だけでなく。

友梨は、和音先輩を、愛して、いるの。

そう…愛して、る。

和音先輩の、甘い唇も、優しくて少しだけ低い声も、私を抱きしめる腕も、頬を撫でる指も。

考えたら、おかしくなりそうな位

好きで、好きで好きで  たまらないの。

消してしまいたかった自分が、和音先輩に愛される度に、清められていくような、そんな気が、するの。


……ねえ。

イエスさま。

この、想いは。
真実の道に繋がっているのでしょう?


ねえ……  




そっと唇を離されると、友梨はぺたりと和音に抱きついたまま。


「どうしたらいいの?和音先輩……私、少し怖いみたい」


と、言って火照って薄桃色に染まった頬をさらに赤くした。