その説明を聞いて、空也は。


「……苦しむんじゃねぇかな、ウチの娘は」


と、言って、今度はゆるく、テーブルを足で押した。


「リズだけでなく、今現在5人の母親としてお嬢様は……」


「てめぇに子供はいんのかよ?」


ガン!


先ほどより強く、空也はテーブルを蹴る。


「……!いえ、まだ」


「だと、しても。わかんねぇかな?5人いるから1人いなくなっても平気とかよ?そーゆー問題じゃあねぇだろ?」


「ですが彼女が今越えなければいけないのは、そこなんです」


「何言ってんだ、てめぇ」


ガンガンガン!


テーブルが揺れ、カップからコーヒーが零れ、ソーサーからも弾け飛び、大理石にその滴が広がった。


「他にも子供がいるから1人位死んでも慣れろって言うのか?また産めばいいって、そうゆう事か?アイツがどんな状態で刺されたか知ってるのか?子供だって今後産めるかどうかなんて!」


ガン!!


重いテーブルが動く程の強さで、空也は縁を蹴り飛ばし、狩谷を睨んだ。


けれど、ここに来てやっと肝がすわったのか、狩谷は静かに。


「誤解、しないで下さい。そうじゃない。僕が言っているのは、そういう話ではないんです」


と、言って、空也を睨み返した。