誰かの声が聞こえた気がしてそっと目を開く。 だが……何も見えなかった。 いや、正確には見えている。 目を閉じていた時と同じ、暗くて何処までも深い闇が。 ……ここはどこなんだろう? そんな問いが頭に浮かぶ。 ここがもしも自分の部屋の安っぽいベッドの上であるなら、窓から差し込む街の明かりで部屋の中が見渡せるはず。 ……しかし、いくら待っても目の前の闇はその深さを変えず、ただ静かに存在し続けるだけだった。