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 どの世界にも、ソレを存在させるモノがある。『 』から何かを生みだすのは容易じゃない。神でも無い者が、神のように振舞うには限界がある。





 ――では、どうすればいいか?





 答えは簡単。〝自分で〟生み出すのではなく、〝そーいった存在〟に生み出してもらうこと。

 だが、あいつは新しい世界を創るだけじゃない。今の世界を壊すことを考えている。そーなれば、今在る世界の意志に妨害されるはずだが……まだその動きは感じられない。

 全ての存在。それは時間も空間も等しく。ありとあらゆるモノには、〝生きたい〟、〝死にたくない〟という存在意思がある。だから、そーいった願いを壊そうとするモノには抑止力が働く。その意思が動けば、あいつのすることは成功しない。

 ソレは、存在するモノに何も出来ない代わりに、存在するモノから侵されない力がある。





 さて――今回はどーかな?





 抑止力という流れは、ある意味気まぐれな生き物。あらゆる要因が重なって、何かのきっかけでスイッチが入る。鍵は、おそらく彼女の意思。でも今のままじゃ、その意思すら危うい。だから、彼女が動けるよう力を貸してみるか。

 ……まさか、こんな形で自分の存在理由を理解するなんて。だからこそ長い時間生き、ここにも来ることになった。もっと早く……彼女と深く関わりたかった。気付いた途端失恋とか、いい笑い話だ。