『・・・ちょっとトイレ行って来る』



「了解ー。早く戻ってきてねー」







トイレに誰もいない事を確認して、制服の袖を捲り上げる。





ーー人形の様な指、手、腕。


全てがニセモノのカラダ。



・・・私は、人形。


詳しく言うと、操り人形、マリオネット。



冷たいその手で頬を撫でる。


鏡に映る私の顔は無表情だ。



ーー私は・・・、





その時、授業の始まりを知らす鐘が鳴った。



ハッとして捲り上げた袖を下ろし、走ってクラスに戻る。




確か一時間目は英語。


先生、まだ来てないといいな。