夏休みが終わった。 約一ヶ月ぶりの学校だ。 今年の夏休みは、あまりいい思いをしなかった。 望んでもいない一夏のアバンチュール。 気分は晴れない。 そして、ロクに勉強をしていない。 しょうがないと言われればしょうがないが、もう少しできなかったのかと自問自答する。 紘哉はため息をつくと、自分の席に座った。 「……暑い」 ボソリと呟き、本を開く。 芳樹に渡された孫紗江の本だ。