「おじさん、何の仕事してたの?」 「……」 「ねぇ、紘哉」 「……探偵だった」 「探偵?」 「そう。困っている人を助ける、立派な職業だ」 それだけ言うと、紘哉は立ち上がって外へ出ていった。 まだ実感が湧かない。 遺書までもらって別れを告げたはずなのに。 後ろを振り向けば、まだ芳樹が笑いながら立っているような感覚に陥る。