* 林は真っ暗だった。 街灯が一つもない。 紘哉はポケットから携帯電話を取り出すと、足元を照らして歩みを進める。 そして。 「……見付けた……」 白くてボロい蔵。 窓もなく、密室状態に近い。 恐らく、あの中に夏紀がいるのだろう。 紘哉は蔵の扉に近付き、取っ手を引いた。 鉄の取っ手がヒヤリとする。 そして彼は扉を全開に開けた。