モミの木林は駅の近くにある。 駅から警察署まで車で15分程度。 走っていくとなると、それなりの距離がある。 紘哉は必死に走っていた。 夏独特の蒸し暑さ。 額からは汗が吹き出し、徐々に体内の水分を奪っていく。 喉が渇き、口の中は鉄の味がする。 まさに満身創痍だ。 「待ってろ……!」 ここでカッコイイ言葉を吐いたところで様にならない。 それでも彼は呟くと、足を進めていった。