「こっちは松の木がある場所を全て調べてみる。お前は夏紀ちゃんを頼む」 「言われなくても分かってます」 「……可愛いげの無いガキだな」 「余計なお世話ですよ」 そう言い残し、紘哉は警察署を出ていった。 時間は午後11時30分。 夏紀が誘拐されてから丸三日経とうとしている。 あの写真以来、夏紀の様子は全く分からない。 疲れた身体に鞭を打ち、紘哉は懸命に走り続けた。