「何かあったんですか?」 肩で息をしながら警察署に駆け込んだ。 そこには深刻そうに腕を組ながら立っている狸翠がいた。 そして、その後ろには俯いたまま席に座る雄太郎。 紘哉の動きが一瞬止まった。 「どうした?」 「いえ、何でも……」 狸翠に不思議そうな目で見られ、視線をそらす。 狸翠は首をかしげ、手元の書類に目を落とした。 「まぁ、いいや。少し進展があった」