日差しが強い。 とにかく暑い。 教室にいようが、廊下にいようが暑さは変わらない。 避暑地を探すために、廊下へ出たのは不正解だった。 紘哉はロッカーを開けると、奥の方から本を取り出した。 最近人気の海外ミステリー作家の本だ。 「おーい!紘哉!」 ロッカーを閉め、教室に戻ろうとした紘哉の背中に声が掛けられた。 彼は無言で振り向く。