日々…戦いは、続いていく。

「ひぇ〜」

恐怖から思わず声をもらした僕に、アルテミアは舌打ちした。

「チッ。耳元で騒ぐな!」

アルテミアは周囲に気を配りながら、顔をしかめた。

魔王との戦いで肉体を失ったアルテミアは、異世界より僕を呼び出し、僕の体を使い、実体化することができていた。

その間は、肉体を失っている僕は…ピアスの中から声を出すしかできないのだ。

「ポイントが少なくなっているんだ。一気に増やすには、絶好の場所だ」

アルテミアは口許を緩めると、腰を少し下ろし、ゆっくりと構えた。

「か、帰りたい!」

嘆く僕を無視して、アルテミアはブロンドの髪を靡かせて、地面を蹴り、走り出した。

周囲を囲む数百のゴブリンの群れに向かって…。

そう…ここは、僕が生まれた実世界とは違って、魔法と魔物が存在する世界。

僕の世界と違い、科学が発展せずに、魔法が発展した世界。

この為、この世界は、緑におおわれ、自然が破壊されることがなかった。

だから、この世界はこう呼ばれていた。

ブルーワールドと。



「うりゃああ!」

アルテミアは身を捩り、先頭にいるゴブリンの首筋に蹴りを叩き込んだ。

ふっ飛んだゴブリンの巨体が、後ろにいた二体のゴブリンにぶつかり、将棋倒しのように背中から倒れていく。

「モード・チェンジ!」

着地の瞬間に、アルテミアの姿が変わる。

髪は単髪になり、黒皮のボンテージ姿になった。

「フン!」

倒れたゴブリン達を足場にすると、アルテミアはそのまま群れの中に突入した。

格闘技専門の属性に変わったアルテミアは、素手でゴブリン達を倒していく。

その度に、アルテミアの胸元に挟まれたポイントカードから、音声が流れた。

「ポイントゲット」

魔力を持たない人間が、魔法を使う為には、魔物を倒し、魔力を奪わなければならない。

得れる魔力…つまりポイントは、魔物のレベルで変わってくるし、倒して得た魔力は、このシステムを作った防衛軍に税金として一部引かれて、当事者に貯まることになる。