「輝の事、好きなくせに何で他の女に譲るんだよ」
「だーかーらぁ!本当に何言ってるかわからないって」
「いつまで嘘つく気?俺に嘘が通用すると思ってる?」
こんの男は……。
人のプライバシーに土足で踏んできやがる。
「私は嘘もついてないし、譲った覚えもないよ」
ていうか、何様のつもりよ。
頭の中は必死になっちゃってるけど、とりあえず、私は平然を装った。
「それに、何を根拠に……」
「見てたらわかるよ」
「……」
私の言葉を遮って即答した八神。
「……」
「……」
ずっと、じっと。
私の横で、私と同じようにグラウンドを眺めてる八神。
……どうやら八神には、嘘は突き通せないみたいだった。