「ううっ……ひっく…」


泣き顔を見せるために八神を呼んだんじゃない!

止まれ!止まれっ…とま―――……


「落ち着いた?」

「っっ!?」


八神の言うとおり、私の涙はすぐに止まった。

なぜなら…


八神が私を優しく抱き寄せたから…。



「……あ、あのっ…八神…」


私らしくないよ、こんなのっ

こんな……真っ赤になるなんて…。



「三上と広沢が付き合うのは、重々承知の上で協力してたんだろ?」


「っ…。そうだけど……本当は違った…」


八神がさすってくれる背中があったかい。


「本当は嫌なの!絶対にいやっ…。こんな間近になって…ようやく自分の本当の気持ちがわかった…。私、すっごい我儘だよ…ね。」


自分勝手なのはわかってる。
あれだけ協力しときながら、結局は―――……


「なあ朝山(あやさま)」


八神の声が教室に響く。

表情がまったくわからない。