「なあ、我慢してんだろ」 突然のその言葉に、私の頭はハテナだらけになった。 「……は?」 「本当は私が付き合いたいのに。私の方が好きなのに」 「……」 「そう思ってるだろ」 その言葉は、私の中の知られたくない部分を、簡単に剥ぎ取ってしまった。 それにしても、コイツは…… 同じクラスの八神久弥(やがみ・きゅうや)は、何を根拠にこんな事を言ったのか。 私はただ、教室の窓からグラウンドを眺めていただけなのに。