赤い狼と黒い兎



ただ、朔弥だけは信じてくれそうになかったから口パクで「ごめん」とやった。



『……、』



準備はいいかって、あの写真を見る…って意味なのか…?

にしてはまだ下へ続いていたような…。

あたしはもう一度パソコンを開け、極力その写真を見ないようにカーソルを動かした。



『(また文字……)』



サ ァ ハ ジ メ ヨ ウ カ


『(さぁ、始めようか…?)』



ア ワ レ デ

ジ ツ ニ

コ ッ ケ イ ナ

ヒ ゲ キ ノ

モ ノ ガ タ リ ヲ … ―



『(哀れで、実に滑稽な、悲劇の、物語を……?)』



どういう意味だ?

哀れ…?
滑稽…?
悲劇…?
物語…?

まったく意味がわからん。

さっきの写真に写っていたのは、明らかにあたしがいたチームの子だ。

確か、名前は…“柊瑚雨”

かわいい名前とは裏腹で、目は猫のように鋭く耳にはピアスがたくさん空いている。

痴漢だって、悪い奴は懲らしめて生き方が堂々としてかっこよかったあの子が…なんで――…?



『……』



あたしの中に、黒い何かが沸き上がってきた。

絶対見つけ出して、潰してやる―――…!!

これを送り付けてきた奴は、絶対にあたしを知っている。