赤い狼と黒い兎



「久しぶり馨ちゃん…!」



音楽室に入った途端、がばりと琉樹に抱き付かれた。

……はぁ、これ何回目。

朝起きて亜稀羅に1回、学校ついて、加奈子と春架に1回ずつ。

それから…青夜に1回で、今琉樹で1回。

合計、5回。

どんだけ抱き付かれてんのあたし……。



『わかった、わかったから離れろ琉樹…』

「1週間振りだよ…!」

『ああ、うん。そだね〜』

「テキトー!」



そんなこと言われてもな…。やること済まさなきゃ意味ないんだって。



「モテモテだね」



にこりと笑って言う朔弥に、琉樹はにやりと笑った。



「羨ましい?」



…何が羨ましいんだよ。

溜め息をついて、琉樹の頭を撫でていると。



「全然。女の子にヤキモチ妬いてどうするの?」



なんて、ブラックスマイルで言う。



「アンタなんかより馨の方がモテんだからね」

「へぇ…」



複雑なんですけど。

なんか似てるなこの2人…。



『なんかめんどいからさっさとやろうか』

「(馨の事なんだけど…)
…そうだな」

「(鈍感…。大変だなぁ、唯兎の奴…)
何調べるの?」



ニコニコと笑顔で問い掛けてくる2人。

ちょっと温度差を感じるんだけど…。



『ここ最近起こってる事件の事』