「あっ、馨ちゃーん!?」

「「!?」」



音楽室にいた全員が驚いて、麻友美を凝視した。

麻友美はそんなのお構い無しで話続ける。



「えー、何?…うん、うん。それで?……え〜、マジ?」



聞いてるこっちは意味不明。

何話してんだ…?



「はっ?……何だそれ…」



少し麻友美の声のトーンが下がり、不思議に思った。



「どこで……。うん…、たまたま?……ふぅん、わかった」



いつもなら言う「じゃあね」も言わずに電話を切った。

余程の事なんだろうか…。



「ちょっと行って来るわ」

「どこに?」

「なーいしょっ♪今からかおちゃんとデートなの♪」



話してる声からしてそんなんじゃなかったけど…。



「デート?いーな、俺も!」

「だーめっ!2人きりのデートなんだから♪」



るんるん♪とハートを撒き散らして音楽室を出て行く麻友美。

閉める際、麻友美の目が鋭くなったのが微かに見えた――…



「…あれは絶対何かあるな」

「まあ、馨が麻友美に電話掛ける時って何かあるだろ」



メンバーの誰かに、何かがあった。

…それしか考えられない。

その“誰か”と“何か”は処理が終わってからじゃないとあたしのところには回って来ない。