「なんの」
「いやいや、知らねぇよ。一緒に住んでんだからそれは自分で聞け」
青夜がそう言うと、亜稀羅は眉間にシワを寄せた。
ちょ、イケメンが台無しなんですけど。
「…馨、部屋閉じ籠ると絶対出てこない。飯も食わない」
「え、1週間飯なし?」
「無理無理、俺絶対死ぬな」
「……亜稀羅!ドアぶっ壊してでも馨を連れて来なさい!」
ビシッと指を指して言うと、亜稀羅は首を横に振った。
「春架も馨がマジで怒ったらやべぇの、知ってるだろ?」
「………。」
「邪魔しようもんなら俺が殺られるっつーの」
「………そうだね」
そう小さく呟いた。
確かに危ない。馨のマジギレは誰にも止められない。
…どうしようも無いじゃないか!
「……そうだ、電話とかは?」
加奈子姉さんが顎に人差し指を添えてそう言った。
「あっ、電話!」
「ムダだよ」
「アンタねぇ…!」
ソファーに寝転がって欠伸をする亜稀羅を睨んだ。
…そのやり方、馨にそっくりだな。
「出たとしても、低音ボイスで罵られるのがオチだって」
「…馨の、低音ボイス…」
「想像するだけでも背筋が凍るよ……」
麻友美の言葉に同意するように頷いた。