赤い狼と黒い兎



極力加奈子に似るように言ってみた。

キモいの承知。

春架たちは呆れ顔。

青夜は苦笑い。

唯兎たちは苦笑いと不思議そうな顔。

加奈子は青ざめてる。



「そうだ!私が言うって自分で言ったんじゃん…!」

『で、その日言おうとしたクセに下の奴等と単車弄ってたな』

「教えろよぉおお!!!!」


何でだよ、と呟いて欠伸を溢した。



『お前、バカだろ。言いに行くっつた奴が普通忘れるか?つうか、お前それ遠くない過去だぞ』

「……教えろよ」

『……知るかよ』



あたしは溜め息を吐き、加奈子を見た。



『これは加奈子が悪い。同盟の話は延長だな』

「延長も何もないね」

「組む気ないし」

「……逆に馨はどうなんだよ?同盟組むの」



青夜が腕を組んで、不思議そうな顔で聞いてきた。



『…何であたし』

「元moonの総長として。一応、先代じゃん?」



ニィ、と八重歯を見せて笑う。

先代なんて、そんな大それたモンじゃねーけど……。



『……別に、いいんじゃない』

「馨!」

『だから、よく考えろっつうんだよ。春架』



往生際の悪い春架にそう言った。



『お前は今、総長なんだよ』

「……」

『“イヤ”の一言で片付けるんじゃなくて、後先をよく考えろ。一瞬の判断が狂わせる。』