赤い狼と黒い兎



深子が唇を尖らせ、亜稀羅にそう言った。

か…かわいい……。って違うか。



「あ?」

「うちが送ってくんだ!」

「寝言は寝て言えよ?深子」

「なんだとーう!?」



深子と磨子はあたしらの中で、唯一背が低くよく亜稀羅に子供扱いをされている。

…あたしたちも十分子供なんだけれど、身長の他に言葉遣い?とかも子供っぽい。

でも、キレるとやばい。今は遊びだからまだいいんだけれどね…?



「毎日亜稀羅ばっか!たまにはうちのケツにリーダー乗せたいッ!」



まだ口癖で“リーダー”と言う深子磨子。

もう抜けたからリーダーじゃあ、ないんだけどなぁ…。



「まぁまぁ…。また今度、な?深子」

「やだッ!今度とか無い!」

「え〜…。だったらアタシもリーダー送りたい〜」

「何だとッ!?」



……わざとらしいぞ、深子。

呆れて溜め息が出、額を押さえた。



「大変だね、馨ちゃんも…」

『……まぁな。』



朔弥から同情の眼差しを向けられ、苦笑いをした。

その間も深子磨子、亜稀羅で口論が続いた。



『…めんどい。てか早く帰りたいんだけど…』

「じゃあもうあいつら放っといて、あたしが送ってあげるよ」

『マジ?さんきゅー』



結局、あの3人は屋上に置き去りにしあたしは春架の後ろに乗ることとなった。