赤い狼と黒い兎



WolfMoonは元はレディースチーム。今じゃ、同盟や傘下で男も入り交じり大規模なチームになり、NO.1にまで成り上がった。

…あたし的に、NO.1とかあんまし興味ないんだけどね。



「あの…“黒狼”が…馨…?」

「嘘だろ、オイ…」

「………。」

「なるほど、ね…」

「…だから、か…」



最後に呟いた郁に、あたしは首を傾げた。



『だから?』

「いや…、昔“黒狼”に助けられた事があったんだ」

「はあ!?」

「馨に助けられたぁ?」

「んなことあるワケねぇだろ」

「馨チャンが人助け…?」

「……ありえない!!」



言いたい放題だな、オイ。お前ら覚えとけよ。



『…あたしが郁を助けたぁ?……んな記憶ねぇけどなぁ…』

「……まぁ、覚えてなくてもいいんだけどよ」

『ほぉ?…いや、やっぱ気になる。言え』

「命令系かよ!」



そこまで言われちゃ、解決するまでモヤモヤして気持ち悪ぃだろ。



「え?…いや…」

『今、ここで、言え。
それとも、コイツらが居ちゃ言えねーような事か?』



そう言えば、なんとも言えないような表情をし少しだけ視線を下に向けた。



『…いいだろ。おい、桜庭郁』

「え…」

『明日、音楽室に来い。』

「ちょっ、馨!?」

「そこはっ」

『いいな?』



有無を言わさず頷かせ、あたしは踵を返した。



『…行くぞ』

「ちょ、ちょっと馨!!」